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法撃剣士スタークォーツ・パート8

法撃剣士スタークォーツ・パート8

 宇宙空間に青白い光を放つ円形の門が出現し、そこから1隻の宇宙船が飛び出してきた。
 宇宙船はオラクル船団公安部が所有するものであり、それが行く先にはクレスト号の姿がある。
 公安がクレスト号に対してエネルギー反応の計測を行った結果、動力炉が稼働していることが判明した。
 敵の隠れ家は放棄されたクレスト号であるというハトミの予測は正しかったのだ。
 公安は即座に「宇宙からの祝福の会」の逮捕、ならびに黒のセイバー破壊のために実戦部隊の派遣を決定した。
 実戦部隊は抵抗を止めない犯人に対しての射殺が許可されており、公安でもっとも攻撃的な部隊だ。ハトミもここに属していたことがある。
 スタークォーツは作戦開始までの間、公安宇宙船の一室でハトミと共に待機してた。この作戦は公安が主導であり、スタークォーツはアークス側からの協力者として作戦に参加する事になっている。
 スタークォーツは正面にいるハトミを見る。普段はアークス管制官の制服を身に着けている彼女であるが今は耐弾・耐刃性をもつ戦闘服とその上からエグゾスケルトンを身につけている。
 さらにはアークスでも使用されている大口径のアサルトライフルをスリングベルトで肩に掛けていて、右足の太もも部分には予備の武器として拳銃を下げている。胴には防弾機能を持つベストを着用しており、そこのポケットには予備の弾倉や手榴弾、鍵のかかったドアなどを破壊するための小型爆弾などが収められている。
 数日前のウォパルでの仕事の時とはまるで別人だった。それは全身に武器を装着している姿であるからではなく、身にまとった刃のような空気によるものであった。
「ハトミさん、本当に良いのですか? 戦いは戦闘員の私に任せてあなたはいつもどおり後方で……」
「戦います」
 スタークォーツの言葉を遮るように彼女はきっぱりと言い切った。
「今回の件は私も無関係ではありません。切るべき因縁があります」
 スタークォーツはすでにハトミの過去を聞かされている。彼女が公安からアークスへ転職するきっかけとなった事件だ。
「本当の幸福をもたらすためにと「宇宙からの祝福の会」はお題目を掲げていますが、その実態はダーカーと大して変わりません。ただ誰かを不幸にするためだけに行動している。そうでなければ、あの事件でツネコさんに罪をなすりつけたりせず、堂々と自分たちがやったと宣言します。そうしなかったのは連中にとっての幸福が他人の不幸であるからです。そんな連中は根絶やしにされるべき害悪なのですよ」
 怒りによるものからか、普段は温厚なハトミとはまるで別人のように目付きが鋭く言葉も荒々しかった。
 その時、部屋の扉が開いて男が現れる。彼の名はストーンだったとスタークォーツは記憶していた。
「ハトミ、スタークォーツ、作戦開始の時間だ。今からエアロックへ行ってくれ」
 いよいよその時がやってきた。スタークォーツとハトミは互いに視線を交わして無言で頷く。
 エアロックへと向かった二人は船外へ出るために準備をする。ハトミは身につけている戦闘服は宇宙服としても機能しているので、機密ヘルメットをかぶるだけでよい。
 スタークォーツも準備を終える。世間では誤解されがちだが、身体を機械化したキャストでもそのまま宇宙へ出てしまうと確実に死亡する。各種宇宙線への防御はともかく、問題は酸素だ。生身部分である脳は酸素を必要としており、通常は人工肺からの呼吸によって取り込んでいるが真空中ではそれが出来ない。
 スタークォーツは船外に出るにあたって、ボディに外付けの圧縮空気ボンベを取り付けている。
 エアロックから船外へと出た二人は、空気圧式の推進装置を使ってクレスト号へと向かう。
 この作戦ではスタークォーツとハトミは公安部隊とは別行動を取る。
 クレスト号の機能が復帰している以上、敵は既にこちらの出現を察知しているだろう。そこで、公安部隊が正面から突入しつつ、アークスの二人は別の場所からクレスト号へと潜入して敵に奇襲をかけることになった。人間二人分程度ならば小さすぎてクレスト号のレーダーには引っかからない。空気圧式の推進装置を使うのもエネルギー反応を察知されないためだ。
 公安宇宙船が先行し、クレスト号の宇宙港から進入する。
 スタークォーツとハトミは宇宙港から離れた場所にあるハッチからクレスト号へと入り込んだ。
「まだ敵は出てこないようですね」
 整備用通路を進みながらスタークォーツは言う。
「拠点代わりにしているビルにいるのでしょう。主だったメンバーは私が全員逮捕したので、人数は限られています。今の「宇宙からの祝福の会」にいる信者は、入信したばかりでまだテロ行為を行っていなかった新参者でしょう」
 整備用通路を抜けるとクレスト号の都市外縁部へと到達する。
 都市外縁部は経年劣化して基部から離れてしまった幾つもの建物が無重力で宙に浮いていた。
 その時、公安側から通信が入った。
『こちら公安のストーンだ』
「こちらアークスのハトミ。どうしましたか?」
 ストーンと通信しているのはハトミだが、通信機の周波数を合わせているのでスタークォーツも二人の会話を聞き取れている。
『少々問題が発生した。その位置から敵が拠点にしているビルの屋上が見えるか?』
「ハトミさん、私が確認します」
 スタークォーツの瞳は生身のものよりも遠くを見通せる。視野を通常モードから望遠モードへと切り替えると、全長5メートルの程の人型ロボットが屋上から身を乗り出して狙撃銃を構えている姿が見えた。
「あれはリリーパにいる人型機甲種のクーガーNX? なぜあんなものがここに」
 惑星リリーパには機甲種と呼ばれる自律式のロボット兵器が今もなお稼働している。それはしばしばダーカーの影響を受けて暴走することがあり、スタークォーツはハトミと組む前の任務で何度か戦ったことがある。
 今屋上にいるのは機甲種の中でも特に特殊なものであり、自律行動するのは他のと同様なのだが、それとは別に人が乗り込んで操縦することも可能であった。クーガーNXという名前は、残骸を解析したときに判明した名称だ。
「以前に犯罪組織がアークスの倒した機甲種の残骸を修復して悪用したという事件がありました。おそらくそれと同じでしょう」
 ハトミの言葉を受けてもう一度クーガーNXを観てみると、たしかに装甲板が継ぎ接ぎだらけで、いかにも残骸をかき集めて組み立て直したかのような姿だった。
『あいつがいる限り、上から狙撃されてビルに入れない。かと言って隠れて近づこうにも俺たちでは人数が多すぎてすぐに発見されてしまう。アークス戦闘員がいるそっちで対処できないだろうか?』
 公安の部隊は全員がハトミと同じエクゾスケルトンを装備しているとは言え、常人であることにわ変わりない。一方、アークス戦闘員であるスタークォーツはフォトンによって超人的な力を発揮する。
「わかりました、クーガーNXは私とスタークォーツさんで対処します」
『何か考えがあるのか?』
「事前調査ではクレスト号の人工重力はドーム天井まで届かないようになっており、そこは無重力のままであることがわかっています。内壁沿いに天井まで移動し、そこからビルの屋上へ飛び降ります。」
『だが、ビル屋上から30メートル上空までは重力が働いているぞ? 落下の衝撃はどうする』
「スタークォーツさんはテクニックを使えます。気体を操作できるザン系テクニックで空気のクッションを作っていただければ問題ありません」
 ハトミとストーンのやり取りを聞きながらスタークォーツはなるほどと感心した。
『了解した。頼んだぞ』
 公安との通信の後、スタークォーツとハトミは都市部ドームの内側にそってビルの真上を目指す。幸いにもビルからはそれなりに離れていたので、クーガーNXに気づかれることはなかった。
「ではスタークォーツさん、お願いします」
「ええ、任せてください」
 スタークォーツとハトミは互いに抱き合った状態で天井を蹴る。はじめは緩やだった下降速度は人工重力範囲に入ると引っ張られるかのように加速する。
 ビル屋上まで後10メートル。スタークォーツは素早く腰にある白のセイバーを抜いて、大気を操るザン系テクニックを放った。周囲の空気がスタークォーツの意思に従って圧縮し、即席のクッションとなって落下の笑撃を緩和した。
 ここまでくれば流石にクーガーNXも気がついた。二人が着地した直後に振り向いて狙撃銃を撃つ。
 スタークォーツは右、ハトミは左に跳んで敵の射撃を回避する。
 攻撃を外したクーガーNXはその場で狙撃銃を手放し、腰に吊っていた二丁のマシンガンに持ち帰る。
 マシンガンはクーガーNXからすれば小型であるが、スタークォーツたちからすれば巨大だ。弾丸を1発でも受ければ身体の原型を止めないほどの破壊力をもたらすだろう。
 脅威のある相手から倒そうと判断したのかクーガーNXはマシンガンをスタークォーツに向けて射撃した。
 しかし、これはスタークォーツにとって窮地ではなかった。
「もらった!」
 そう! むしろチャンスだったのだ。
 白のセイバーを掲げスタークォーツは【ゾンディール・反転の型】を発動させる。本来敵集団を一箇所にまとめるテクニックは性質を反転させたことで弾丸を反射させる攻撃的なバリアとしての能力を発揮する。
 銃弾がそのままクーガーNXへと襲いかかる。装甲が厚い正面からの被弾なのでスタークォーツの反射攻撃は致命打にはならなかったが、衝撃で膝関節を守っていた装甲が脱落した。もともと残骸をかき集めて組んだ機体だ。初めからあちこちにガタが来ていたのだろう。
 当然、相手の不備を見逃すような迂闊さはスタークォーツたちにはない。
 装甲がなくなり機械部がむき出しになった膝関節をハトミが射撃する。
 大口径のライフル弾はクーガーNXの膝を容赦なく食い破り、機械じかけの巨人は前のめりに倒れ込む。
 クーガーNXがずしんと重い音を立てて倒れると同時にスタークォーツは床を蹴って跳躍していた。
 落下の勢いを上乗せしてクーガーNXの背中から内部のコクピットめがけて白のセイバーを突き刺す。
 コクピットからかすかに聞こえる人の悲鳴。
 クーガーNXが動かなくなったことを確かめると、スタークォーツは自身の剣を引き抜く。白のセイバーの純白の刀身は真っ赤に濡れていた。
「こちらハトミ、クーガーNXを無力化しました!」
『了解! これより突入する!』
 公安チームによる地上階からの攻撃が始まった。
「スタークォーツさん、こちらもビル内へ急ぎましょう」
「はい」
 スタークォーツは足元からおぞましい気配が漂ってくるのを感じていた。それはブラックフォトンの気配。まず間違いなく黒のセイバーから放たれているものだ。
 その気配は前に戦ったときよりもどす黒く、不快感を増していた。相手がより強くなっていると肝に銘じながら、スタークォーツはハトミとともに屋上からビル内へ突入した。

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